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ものぐさ講師の徒然日記

窓際大学教員が、日々の暮らしで感じたことを、徒然なるままに綴っています(日・木曜日に更新)

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【法の問題15】世界一の病床数なのに、なんで医療がひっ迫するの?

Posted on 2021年5月18日2021年5月23日 by monogusalecturer2021

~~~~~

1, 知らなかった!

 ぜひ、大村大次郎さんのこの記事を読んでみてください。

戦犯は「橋下維新」。大阪のコロナ医療崩壊を招いた知事時代の愚策

 さすが元国税庁の職員さんでいらしただけあって、大阪の直面している困難の理由が、具体的なデータや数字でもってわかりやすく解説されています。私、不勉強なので、衝撃でした。

 そのなかでもとくに驚いたのが、橋本さんが知事の時代、2007年から2019年にかけて、府立病院のお医者さんと看護師さんが8,785人から4,360人へと約半数に減らされていたという事実です。

 大坂では、公立病院の病床が削減され、保健所の数も大幅に減らされたという抽象的な言葉はニュースでしょっちゅう聞かされてきました。けれど、800万人もの人が暮らしている自治体で、公立病院の先生や看護師さんがこれほどまでに減らされていたとは、俄かには信じられなかったのです。

◇◆◇◆◇

2,コロナで緊急医療がひっ迫する理由

 それだけではありません。報道番組で、よく「日本は病床数が多いのに、なぜすぐ医療がひっ迫するのか?」とよく問われますけれども、大村さんはこの点についても明快に答えていらっしゃいます。

 大村さんの記事で掲げられている、次の数字を見てください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

公的病院(非営利病院含む) 民間病院

 日本    約20%          約80%
アメリカ  約75%          約25%
イギリス  大半           一部のみ
フランス  約67%           33%
ドイツ   約66%          約34%

 「諸外国における医療提供体制について」厚生労働省サイトより

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 これは、上記の諸国の、病床数の割合です。一目瞭然ですが、日本では、民間病院の割合が異常に高いのです。

 この数字から、大村さんは次のように指摘されています。民間の病院は、当たり前だけれども、儲からないことはしない。だから、感染症対策や救急医療などは基本的に行わない。それゆえ、ふつうの先進国では、そうした部門を担う公的病院の割合が多くなっている、と・・・。

 つまり、日本では、いくら病床数が多いと言っても、感染症や救急医療のための病床がそもそも少ないので、今回のコロナパンデミックみたいな事態に直面すると、途端にどうしようもなくなってしまうというわけです。

 もちろん、倉持仁先生(インターパーク倉持呼吸器内科院長)のように献身的な開業医の方もいらっしゃるわけですが、全体としては、圧倒的に病床数が足りない状況にあるわけです。

◇◆◇◆◇

3,助かるはずのいのちが大阪で助かっていない理由

 こんな事実は知らなかったので、記事を拝見し、心底ビックリしました。

 新自由主義の権化だといわれるイギリスでは、いまもほとんどが公的病院で、堤未果さんが『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』で描かれているような悲惨な医療状況にあるアメリカも、4分の3は公的病院だというのですから・・・。

 ところが、それよりもビックリする数字がありました。最初に記したように、ものすごい勢いで公立病院の職員数を削減した大阪での公的病院の病床数は、なんと、日本全体の平均より低い10%にまで落ち込んでいるというのです・・・!

 つまり、医療に特化すると、大阪は、新自由主義の最先端を突っ走っているわけです。

 だから、いざというとき感染症対策ができない状況に陥り、重症化しても10人に1人しか入院できず、悲しいことに、助かるはずのいのちが失われていっているのです。

◇◆◇◆◇

4,まずは知ること。

 大村さんは、記事の中で、2つの苦言を呈されています。

 1点目は、こうした事実が、メディアではまったく報道されないという現状。

 まったく同感です。聞いたことがありませんでした。でも、だからといって私は、人のせいにはできません。なぜなら・・・。

 大村さんが呈されている苦言の2点目は、こうした事実は調べればすぐわかるという指摘だからです。

 私も大村さんの記事を拝読し初めて知ったのですが、大村さんからのお叱りの言葉が聞こえてくるようで、恥ずかしいです・・・。

 でも、知った以上は、広く知っていただきたく、また大村さんの記事を読んでもらいたく、取り上げさせて頂いたという次第です。

 まずは、コロナ禍に見舞われている大阪を苦境に陥れる要因となった、最近の歴史を知ること。

 それこそが、どうすれば自分や大事な人たちの〈いのち〉を守れるか、パンデミックがおさまった暁にはどういう行動をとるべきか、といった点についての道標になるのではないかと思っています。

 大阪のみなさま、どうかくれぐれも注意して、ご自愛の上お過ごしください。

(2021年5月22日タイトル修正)

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