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ものぐさ講師の徒然日記

窓際大学教員が、日々の暮らしで感じたことを、徒然なるままに綴っています(日・木曜日に更新)

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【コロナ問題と公害との共通性4】 被害者の多くが報われない

Posted on 2020年5月17日2020年5月17日 by monogusalecturer2021

◆できない× しようとしない〇

ここまで、 被害の全体像がなかなか把握されない理由を、公害事件と比較し推測してきた。さんざんネガティブな推測をしてきたので、「たしかに公害はわざと被害の実態を見ないようにしているのかもしれないけど、コロナの場合は検査に時間がかかるんだから、仕方ないんじゃない?」という反論が飛んできそうだ。

でも、そうした前提に立つとどうしても説明できない実態がある。それは、世界中の国々がものすごいスピードで検査できる件数を増やしているのに、日本の場合、約束していた1日2万件という検査体制を整備できたのが、つい最近の5月15日だった、という事実である(※1)。

これは一体どういうことなのか? その理由となる情報に、なかなか出会えなかった。ところが「田中龍作ジャーナル」のTwitter欄でリツイートされた麻木久仁子さんのツイートを拝見して、ようやく納得がいった。導入しようと思えばすぐにもできる機器が実は日本にあったにもかかわらず、顧みられた痕跡がないのだ。

◆世界中で活躍している日本企業の検査機器

 公害事件とコロナ問題との共通性を探るきっかけとなった、ロイター通信配信の国会答弁(拙ブログの5月14日付記事参照)で、尾身副座長は、全ての感染者数を把握するのが難しいのは、「現在行われている検査システム」に問題があるからだと言っている。それはすなわち、いまの検査のやり方では、検査員の安全を守るためにも1検体当たりの時間がかなりかかってしまうから、という、何か月も前から繰り返されてきた理屈と一緒である。それ以外の選択肢がないというのが、尾身副座長の答弁の前提条件だといってよい。

でも、もし、最前線で検査しているみなさんを守りながら、より早く、より多く計測できる方法が、別にあったとしたらどうだろう? その場合、尾身副座長が依拠する、奇跡的に4か月近い命運を保っている理屈、すなわち「検査に時間がかかる説」の前提条件は、完全に破綻する。しかも実際に、そういう別の安全な方法が存在したのだ。

それは、プレシジョン・システム・サイエンス株式会社の機器を使った検査である。同社の検査機器は、世界中で大活躍していて、一度に大量の検体を安全に検査できるから、多くの国で1日あたりの検査数がどんどん上昇している。フランス大使館から感謝状が贈られるほどの性能らしい。その事実を、麻木さんがツイートしてくれたのだ(※2)。

◆検査を「わざとやらない」諸説

事実として、世界中に信頼され、感謝されている検査機器のメーカーが日本には存在する。だから、政府が「できない」というのは方便にすぎなくて、「わざとやらない」というのが、どうやら正確らしい。

それでも、なぜ、頑として「検査に時間がかかる説」にしがみつき、検査体制の拡充に資する日本企業の機器を導入しないのだろう? この問いの答えについては、昨日・一昨日のブログで、わざと実態を把握しないよう努めることで賠償を回避している可能性、守りたい大義が別にある可能性(「アベノミクス」の維持と「オリンピック」の開催)のふたつを、推測される解として示してきた。ほかにも、〈実態が明らかになると、医療への支援の不足どころか、病床を減らそうとしていた事実がますます批判の対象になる。それを避けようとしているのではないか?〉という説も考えられる。

いろいろあるけど、違った観点からの妄想も膨らんで、胸がソワソワする自分がいる。〈まさか、わざと科学的根拠を示さず、わざと国民の不安をあおり、「緊急事態条項がないからこうなったんだ」と自分たちの失態を憲法のせいにし、一気に改憲までもっていこうとしているのではないか・・・?〉

◆被害者の多くが報われない

いや、それは流石にちょっと考えすぎかもしれない。ただただ「経済への影響がこれほど出ているのに、科学的な根拠もなく自粛を要請するとは何事だ!」という批判をかわすため、一刻も早く終息宣言を出そうとして、被害の実態を小さく見せようとしているだけなのかもしれない。最近の動きを見れば、こちらの方が当たっている可能性は高い。緊急事態宣言の解除が早められれば、国民や事業者への個別補償もしなくて済む、という考えもあるのかもしれない。もしそうだとしたら、結局、公害被害にたいする国の姿勢と同じだというのが悲しい。

しかし、もしそのように考えているのだとしたら、コロナ対策としてだけでなく、経済対策としても間違っている。すでにたいへんな生活状況に置かれている非正規雇用やフリーランスの方たちをどう支援するか。かなりの損害を被っている事業者をどう救済するか。そのための追加支援を講じない限り、この国の経済は近い将来ガタガタになる。そうなれば、多くの人が路頭に迷いかねない。

「なるべく補償を少なくしたい」+「それゆえワザとちょっとしか調べない」+「そのために無理やり過小評価する」=「多くの被害者が報われない」・・・。公害のこの方程式を、コロナ禍で繰り返すような施策をとってはいけない。

【注】

(※1)ちなみに、山中伸弥教授が大学の資源をぜひ活用してほしいと訴えてこられたにもかかわらず、文科省から大学に依頼がきたのは、ほんの数日前というのが実態である。

(※)プレシジョン・システム・サイエンス株式会社のWebサイトはhttp://www.pss.co.jp/で、感謝状にかんするプレスのページはhttp://www.pss.co.jp/ir/press/pdf/20200424.pdf。

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