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ものぐさ講師の徒然日記

窓際大学教員が、日々の暮らしで感じたことを、徒然なるままに綴っています(日・木曜日に更新)

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【生活のなかで気づいたこと2】三月の雪とデンキ

Posted on 2022年3月22日2022年3月23日 by monogusalecturer2021

~~~~~

1、初の「電力需給ひっ迫警報」発令!

 今日は、朝からどんどん気温が下がっていった。昼前には、パソコンに表示されている外気温が1度になり、雨がみぞれへ、そして雪へと変わり、深々と降り続けた。職場にある草木たちは、1cmほどの雪を薄っすらと積もらせ、3月なのに冬化粧をしていた。

 三月の雪をみると、ついつい、槇原敬之さんの同名の曲を口ずさんでしまう(卒業式の 二十日後に 仲間たちは~ 肩を並べて♪・・・)。

 今朝、出かける前のニュースで、今日は、電力の需給がひっ迫する「電力需給ひっ迫警報」が初めて出されるかもしれないと伝えていた。そして実際、警報は発出されたらしい。

 お昼ご飯を食べに帰宅してテレビを見ると、節電が呼び掛けられていた。でも、節電を呼び掛けるテレビを見ていつも思うのだけれど、「テレビを消してください」とはけっして言わない。視聴率に直結するから、当然といえばそうなのだけれど、テレビはかなり電力を食うので、春休みで家にいる子どもたちがご飯を食べ終わると同時に、スイッチを消した。

◇◆◇◆◇

2、災害のたびに生じるエネルギー不安

 需給ひっ迫により、20時以降、東京電力管内の300万戸で電力が止まるかもしれない・・・。

 このようなニュースに接していて、2011年の東日本大震災を経験してから11年間、いったい何をやっていたのだろう、と愕然としてしまった。

 私たちの社会では、いろんな自然災害が発生するたび、停電が起こる。

 2014年の雪害による停電、2016年4月の熊本地震による停電、2018年9月の胆振東部地震による北海道全体のブラックアウト、2019年9月の台風15号による千葉の広範囲での停電、2020年の熊本や福岡を中心とした九州での集中豪雨による停電・・・。

 今回の需給ひっ迫もまた、宮城県沖地震によって、東北地方の太平洋岸にある火力発電所が点検のため止まっているのが要因である。

 災害時に強いのは、小規模分散型のエネルギー自給である。私たちは、そう学んだはずだった。

 でも、3・11から数年のあいだは再生可能エネルギーの普及が目指されていたものの、ここ5~6年ほどは、買取価格の低下、再生可能エネルギーの売電事業者の参入を制限するような法の整備など、旧態依然の利権をまもる政策へと回帰していった。

◇◆◇◆◇

3、国際競争力をあげるために

 そうこうしているうちに、世界でもトップレベルだった太陽光発電技術は、海外に先を越された。

 風力発電の技術もまた、世界中に輸出している中国の後塵を拝している。

 結果、季節ごとの風が吹き(風力)、海に囲まれ(波力・潮力)、水がいたるところを流れ(水力)、太陽が降り注ぎ(太陽光)、温泉がいたるところにあり(地熱)、再生可能エネルギー資源大国であるはずの私たちの社会は、いまだに、年間20兆円もかけて、化石燃料を輸入し続けなければならないままとなっている。

 3・11から10年経って、すでに200兆円の国富が、代替可能なはずの燃料への支払いで失われた。あと10年経てば、さらに200兆円の国富が失われる。そのあいだに、再生可能エネルギー技術を再生させて国内にいきわたらせ、化石燃料に頼らないようにすれば、200兆円のうちかなりの部分が浮くだろう。それに、再建した再生可能エネルギー技術を売れば、海外収支の黒字化にも寄与しうる。実際、たとえば地熱発電技術は、企業の努力により、いまでも世界最高レベルの技術を維持している。

【参考】『自然エネルギー財団』ステファン・ラウルス・ステファンソン(元駐日アイスランド大使)「自然と調和するエネルギー利用:日本でも地熱の活用を」

 https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20210308_1.php

◇◆◇◆◇

4、再生可能エネルギーの弊害

 でも、もちろん、再生可能エネルギーの普及にだって、弊害はある。

 19日に記したような風力発電による景観の破壊、風力発電によるバードストライク、メガソーラー発電所による景観の破壊や災害の危険性の増大など、再生可能エネルギーもまた、大規模に事業を行おうとすればするほど、弊害はおおきくなる(ソーラーパネルに使われるレアメタルの採掘現場で奴隷労働が横行しているという解決すべき現実もある)。

 だから、一概に再生可能エネルギーだから絶対によい、と言い切れるわけではない。

 それゆえ必ず、消費者にとっての多様な選択肢は残されているべきだし、再生可能エネルギーが導入される地域では、規模がおおきいほど、アクター間での綿密な合意形成が必要になる。

 たとえば、各地の「野鳥の会」との協議により野鳥の通り道を避けて風力発電を設置しバードストライクを軽減したり、地域の人たちにとって景観の破壊や災害の恐れをともなわない形で風力発電やメガソーラーを設置したりするには、かならず断続的な話し合いと最終的な合意が必要なのだ。

 また、デンマークのように、地域の起こす公社による再生可能エネルギー事業が優先的に導入されるような仕組みも必要となるだろう。

 弊害はたしかにあるけれども、それにたいする解決策も、このようにいろいろある。

◇◆◇◆◇

5、エコハウス

 そうした大規模な再生可能エネルギーの弊害を極限まで減らすには、多くの世帯が、地熱利用・高断熱・自家発電・燃料電池の利用・木質燃料の使用などによってエコハウス化するという方策が有効かもしれない。おおくの世帯がエコハウス化した街は、災害にも強くなるし、社会全体としては経済的なイノベーションも起こりうる。

【参考】『一般社団法人 えねこや』のWebサイト

 https://enekoya.com/

 小規模なエネルギー自給と大規模なエネルギー供給、どちらもあっていい。問題は、政策による障害なく、自由競争で私たち消費者が選択できるようにすることだ。結果、小規模なエネルギー自給やエネルギーの地産地消の割合が増えたからって、電力に携わっている人の仕事はなくならないと思うし、むしろ、ほうぼうで引っ張りだこになると思う。

 自然災害が起こるたび、エネルギーの供給不安におびえるのと、いろんなエネルギー生産のありかたがあって、災害に強く、経済的にも競争力が高まる社会。どっちがいいだろう?

 もう、めざすべき持続可能な未来は、みえているような気がする。

~~~~~

 久しぶりの三月の雪を目にして、マッキーの歌を口ずさんでなんだかワクワクしながらも、災害によるエネルギー供給不安といういつも繰り返されるニュースをみて、そんな漠然とした思いを抱いていた。

 ならばその思いを今日のブログに書いてしまおう!と思い立ち、夜な夜なしたためているうちに、政府が今夜の停電の可能性はなくなったと発表したというニュースが飛び込んできた。

 よかった~、とりあえず一安心。

 地震で避難されている方がたの避難先や病院などが停電にならなくて、本当によかった。

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