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ものぐさ講師の徒然日記

窓際大学教員が、日々の暮らしで感じたことを、徒然なるままに綴っています(日・木曜日に更新)

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【TVドラマの話1】この内容を年始の一番に放映する意味

Posted on 2022年1月5日2022年1月9日 by monogusalecturer2021

~~~~~

 あけましておめでとうございます。

 昨年の後半は、いろいろありまして、なかなか更新できない日が続きました。

 今年は、昨年よりも多い頻度で更新できたらと思っております。

 これまでと変わらずご笑覧を頂けましたら幸いです。

 よろしくお願い申し上げます!

~~~~~

1、『相棒』「ボーダーライン」

 お昼休み。冬休み中のこどもたちと一緒に昼食をとるため帰宅。

 今日もまた、朝、こどもたちが元気よく「わかった~!」とふたつ返事で返してくれた「午前のうちに勉強しておいてね~」という約束は、守られず仕舞・・・。

 そんな日常の風景はさておき、お昼ご飯を食べながら、昨日のお昼に放送されたテレビ朝日の『相棒』「ボーダーライン」(SEASON9・第8話)が録画できていたので、昼寝中の二男Yくんをのぞき、みんなで視聴した。

 この回はけっこう再放送されているのだけれど、観るたびにいつもいろいろ考えさせられる。

◇◆◇◆◇

2、あらすじ(ネタバレにご注意ください!)

 この回は、就職氷河期に正社員の職に就けなかった主人公が、不遇な人生を送り、最後に自ら非業の死を遂げるというお話である。

 派遣先のイベント会社で「正社員にする」と約束されたものの、業績悪化を理由に、社員寮のある別の会社を紹介される。しかし、その土建会社は、いろんな紹介元から口うるさいと判断された派遣社員を受け入れるための会社だった。それゆえ、社員寮があるというのは名ばかりで、安心して暮らせる場所はなかった。でも、主人公はすでにアパートを引き払っていて、戻ることができない。仕方なくネットカフェ生活が始まる。

 そして、主人公はまたしても、この土建会社にまでクビを切られ、路頭に迷うことになる。

 実のお兄さんに相談したものの、「母さんが入院中に顔を出しもしなかったくせに!」となじられ、けんか別れ。その後は、一生懸命勉強して手に入れた医療事務の資格があったものの、経験がないという理由で採用されず、名義貸しで食いつなぐようになっていく・・・。

◇◆◇◆◇

3、メッセージ

 この回を見ていつも心苦しいのは、主人公に正社員を約束したにもかかわらず、業績悪化を理由に約束を反故にし、悪徳土建会社への斡旋を行ったイベント企業の社名が「SAWA Enterprise」だという点である。もちろん架空の会社なのだけれど・・・。

 それはさておき、この内容が、お昼のドラマの『相棒』枠で、年頭の一番はじめにもってこられたのは、偶然ではない気がした。  

 コロナ禍が襲ってきてからは、シフト減らしや派遣切りに遭い、生活もままならない非正規雇用の方がたがくさんいる。私たちは、報道番組を見て、その現実を知っている。

 でも、年末年始の世間は、クリスマスとお正月で浮かれ気分になっている。

 『相棒』のスタッフさんたちは、世間がそんな雰囲気のときに、この内容をもってきたのだ。まるで「浮かれているだけではいけない、いま苦しんでいる人がたくさんいるんだよ、そのことを忘れないで」というメッセージを送っているかのように。

◇◆◇◆◇

4、社会の闇の縮図

 しかも、この回には、そのように苦しい状況にある方たちにひどい仕打ちを仕掛ける社会の闇が、縮図として描かれてもいる。

 まず、派遣切りという闇。労働基準法では、実は「中間搾取の禁止」という項目がある。でも、それが、小泉改革のとき、法の理念を顧慮することなく、「規制緩和」というたった4文字の聞こえのいいスローガンによって緩和された。そして、いまもなお、そのような労働法制の規制緩和を推し進めたとある経済学者の利益相反によって、多くの人が苦しめられている。

 次に、偽装請負という、派遣労働につきまとっている闇。派遣先の現場では、受け入れ企業、あるいは派遣元企業から、仕事の指導ができる技術者が配置されていなければ、偽装請負となり違法なのだけれど、実際にはそうした事態がまかり通っているといわれている。

 第3に、生活保護の水際作戦という闇。日本の社会福祉には、働けなくなってからの中間の救済策が乏しい。だから、生活保護は、生きるので精いっぱいの方たちがいきつく最後の砦である。にもかかわらず、なるべく申請者を減らせという圧力が、行政の窓口に作用しているのだ。

 そして最後に、生活が苦しい人を犯罪者に貶めてしまう、名義貸しである。

◇◆◇◆◇

5、あまりの変わらなさ

 この回の『相棒』は、こうした社会の闇を波状的に垣間みせることで、「私たちの社会はこのままでいいのかい?」と、観ている私の心に語りかけてくる。

 しかも、このお話が放映されたのは、SEASON9。つまり11年前だ。

 放送から10年以上たっているにもかかわらず、この回で描かれている問題は、いまだになにも解決できていない。

 そのような社会の現状に、愕然とする。

 しかも、社会は急速に寛容さを失って、より悪い方向に向かっている気がしてならない。

 多くの人に、この回のメッセージを受けとってほしい・・・。

 そう願わずにはいられなかった。

~さいごにTwitterで発信されたメッセージを紹介します~

派遣社員は派遣会社に給与の30%をピンハネされる。もっと多くピンハネされる人もいる。そこからさらに税金と社会保険料を国にピンハネされる。これだけ搾取されて何の保障もない。退職金も厚生年金もない。そんな人たちが今や勤労者の半分近くを占めるようになった。私たちの国は搾取で滅びる。

— まりなちゃん (@t2PrW6hArJWQR5S) January 4, 2022

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