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1,報道番組で報道されない重要法案の審議
ゴールデンウイーク本体の休日群が終わり、久しぶりの出勤となった5月6日。
ポイントを貯めたらプレゼントに応募できる『グッドモーニング』(テレビ朝日)を見るのが日課となっているから、こどもたちと一緒にニュースを見ていた。
衆議院の憲法審査会で、国民投票法の改正法案が可決される見込みだと知っていた私は、がっかりした。なぜなら、国の行方を左右するこの法案の重要な採決が行われる、ということについて、番組内ではいっさい触れられなかったからだ。
むしろ、知っておくべき1日のニュースとして、個人撮影のかわいいペットの映像とか、これまた個人撮影でしかも数日前の交通事故の映像とか、「これがほんとうに視聴者が一市民として今日知っておくべきニュース?」かと疑問に思うものが流れてきて、面食らってしまった。
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2,取り上げないのは、重要じゃないから? それとも忖度?
反対であれ、賛成であれ、改憲は、この国のかたちを、未来を、大きく変える。
憲法の改正が、衆参両院の国会議員の3分の2以上の賛成でもしも発議されたら、必ず国民投票がやってくる。
ましてや、ついこのあいだの憲法記念日には、閣僚や与党の大物政治家から、緊急事態条項がいまの憲法にないからコロナ対策ができなかった、だから改憲すべきという珍説が出されたばかりなのだ。
それなのに、憲法改正のための根幹となる法律改正の採決がなされる日に、報道番組で一切ふれられない、という現実・・・。
これは、誰かへの忖度の結果なのか?
それとも、ディレクターが「大きな意味はない」と判断したのか・・・。
真相は知る由もないけれども、『田中龍作ジャーナル』では、さすが、この間の動きとともに、与野党の合意についてわかりやすい記事が配信されていた。
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3,国民投票法の改正が問題視される理由
今回の国民投票法改正法案の重要な追加条項は、3年以内をめどに、国民投票が実施される場合の宣伝などのあり方について決める、というものだ。
なぜ、この条項が問題になるのか?
それは、憲法の改正・反対、どちらの立場の意見であっても公平に扱われる必要があるのに、もしも一方の人たちがお金をたくさん使って、TVやネットでCMを出しまくったりしたら、ひとりひとりの有権者の意見の醸成に一方的な影響を与えかねない、という問題があるからである。
だから、この点について具体的に決めてしまうと、次はいよいよ国民投票だということになるのではないか、という憶測から、野党は簡単に改正の議論に応じてはいけないのでは?という意見があるのだ。
そういうなかで、自粛警察的な報道ばかりが目立ち、「緊急事態条項の創設もいいんじゃない?」という空気が醸成されつつある中で、具体的な詰めの話が決められていく、という現実。
日本の報道の自由度が低いのも、わかる気がする。
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4,知っとくべきニュースではないの?
〈ペットの可愛さも交通事故も重要だけれど、それ以上に、この話は市民生活にとって大きな問題だし、誰もが知っておくべきニュースではないのか?〉
〈採決という話が出てくる前に、市民の議論を喚起すべく、メディアが率先して報道すべきではないのか? 閣僚だって、与野党の国会議員だって、テレビのコメンテーターだって、新聞の社説だって、そう言っているのだから。〉
この日は、そんなモヤモヤした思いが、胸のなかを行ったり来たりしていた。
お昼ご飯を取りながら見た『ワイドスクランブル』(テレビ朝日)のなかで、少しだけ国民投票法改正法案の採決について取り上げられていたのが、せめてもの救いだった。
ちょっと脱線するけど、関連して、社会問題を討論する形式になって、にわかに面白くなっていた立川志らく師匠の『グッドラック』が終わり、かわりに、報道とは程遠い情報番組が始まったのも「報道のTBS」としていかがなものか、というモヤモヤした気持ちが、いまも拭えずにいる。