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私が担当している教養科目では、科学的にみるとはどういうことか、人間にとって自由とは何か、人間が働くことの意味、という3つのテーマを立てて、受講生と一緒にいろいろと考えています。そして、この3つのテーマに沿って、各自ミニレポートを書いていただいています。
「人間が働くことの意味」のある回で、とくに女性は非正規雇用の割合が高く、コロナ禍で雇止めやシフトの減少によりたいへん苦労されていること、それが影響して女性の自殺率が上昇しているのではという指摘があることをお話ししました。
この話を覚えていてくれたAさんは、ご自身のアルバイト経験から、なぜ女性が不遇な状況に追い込まれないといけないのか、という視点でミニレポートをまとめてくださいました。
コロナ禍にもかかわらず、コロナ対策がなかなか国民の生活に目線を落としてくれないなか、たいへん貴重な考察だと思いましたので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです。
(※ご本人の了解を得て掲載させて頂いております。)
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【Aさんのレポート】タイトル「格差社会」
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私は、今回の講義を受けて労働の機会や対価において全人類が平等に享受できる環境になればいいなと思いました。
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若い世代の女性の方の自殺率が上がっているという事実を初めて知りました。この自殺率は女性の非正規雇用率の高さ、賃金の低さが原因であると考えられます。なぜならこのような環境では独身で生活するのは難しく、生活が立ち行かなくなってしまうからです。
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実際に私は、アルバイトをしている飲食店で、フリーターとして働かれていた女性を見てきました。その方は、元々イラストレーターなどの道を目指されていたらしいのですが、そのような仕事では食べていけないのか、そのような仕事をしていなかったのか、アルバイトをされていました。僕が働き始めた時から手取り足取り様々なことを教えて下さいましたし、その人は仕事をしっかりこなす尊敬できる人でした。
私はそのような能力のある人が何故このような仕事をしているのだろうと思っていました。目指していた仕事以外ででも、もっと割のいい仕事はあるはずだろう。と思っていました。その人がどのような将来設計を思い描き、仕事をしていたかは分かりませんが、日本にはびこる女性に対する雇用の問題が影響している事も考えられると思いました。
また、来年度から就職する女性の先輩に就活の事を伺っている時に、初任給の話になり私は驚きました。本当に独り暮らしするのに精一杯の額だったと思います。雇用だけでなく、対価における格差もある事が分かりました。
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確かに生きる事において、お金が全てではありません。生きがいを感じるためやりたい事をする。などお金以外にも大切なことは沢山あります。
しかし、最低限の生活をしたり、自分のやりたい事をしたりするのにもお金は必要ですし、家族や自分に何かが起きた時のためにお金が必要だったり(病気にかかった時に助けてあげるなど)、様々なリスクを回避するのにもお金は重要です。
このように生きることにおいて重要なお金が、足りないということになると、人間だれしも不安になると思います。不平等を解決しようとしない人はこの苦しみを分かろうとしていないと思います。
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女性に対する雇用の問題は、実際に身近で感じただけに、即急に解決しないといけないと思いましたが、世界的にも格差は存在します。この格差も自分の国だけが上手く儲かれば良いと考える国がいるから存在します。
確かに競争力がある方が全世界的には成長するでしょう。全世界が仲良く生活していたら成長は止まるかもしれません。しかし、自分の利益を優先して、発展途上国の生活が厳しくなるぐらいに格差をつけて他の国と競争する必要は絶対にないと思います。
全人類が頑張った分だけ正当な量の対価がもらえる。そんな世界になれば良いなと思いました。
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Aさん、掲載をご快諾頂き、誠にありがとうございました。