◆東京都調布市の道路が陥没!
今朝の『グッドモーニング』(テレビ朝日)。7時代冒頭のニュースで、東京都調布市で起こった道路陥没事故のニュースを伝えていた。
そこは、つい先日、学生たちと一緒に実習でお邪魔した場所の、すぐ近くだった。
テレビ画面に映っている、いつもお世話になってばかりの方たちが、心配そうに陥没した地面を見つめている。
ついに起こってしまったか。
そう思うと同時に、どうかこれ以上拡がらないでくださいと祈るほかなかった。
◆因果関係は不明!?
陥没した場所の地下40メートル以深では、ネクスコ東日本による外環道(東京外郭環状道路)のトンネル工事が進んでいる。
地域の方がたは、工事が始まるずっと前から、博多駅前の陥没事故のようになる危険はないのか、と国土交通省に対し訴えてきた。
でも、そうした声は届かず、認可が下り、工事がどんどん進められてきた。
そういう中での、今回の陥没事故。
でも、ネクスコ東日本は「因果関係は不明」だという。
有識者会議を開き、原因を究明するのだという。
だけれど、真相は本当に解明されるのだろうか?
これまで、「おかしい」「やめたほうがいい」「工法が確立されているとは言い難い」という住民側の意見は、一顧だにされなかった。
建設促進に都合のよい「科学」的な見方が採用され、心配をよそに工事が強行された。
こういう状況のなかで、事業者が集める有識者とは、いったいどういう人たちなのだろう?
「因果関係は認められない」という結論が出てしまうのではないかと、正直いまから心配になる。
◆学問の自由の重要性
いま、日本学術会議会員候補者6名の任命拒否問題が話題になっている。政府に都合の悪い意見の持ち主が排除されたのではないか、と。
そんなことをしたら、学問の世界にも忖度がはびこり、国が間違った方向に向かったとき、正論を吐いてくれる研究者がいなくなるのではないか、と。
一理も二理もある指摘だと思う。
だけれど、学問の世界には、残念ながらすでに忖度がある。
福島第一原発事故は、「原発安全神話」を振りまいてきた「御用学者」の意見ばかりが幅を利かせた結果、起きてしまった。だからこそ、迷惑をかけてしまった福島の人びとの安全と健康のために、学術の世界は、事故の影響を調べる調査・研究を自由闊達に行えるようにならなければいけないはずなのだけれど、そんな理想には程遠い、自主規制の働いている状況にある。
外環道のトンネル工事が、今回の崩落事故と直接因果関係があるかどうかはまだ分からない。
けれど、あれだけの原発事故が起こったあとですらそういう学問状況にあるなかで、ネクスコ東日本の招集する有識者会議が、都合のよい意見をいう学者だけで構成されてしまう可能性は、ゼロとは言えない。
そう考えると、今回の崩落事故は、様ざまな意見を交わして真理を探究する学問の世界をつぶしてしまったら、生活やいのちに影響することでも、真相を問うことができなくなる、という学問の自由の根本問題を私たちに問いかけているのだ。
力をもった人たちに都合のよい学説だけがまかり通れば、市民生活がめちゃくちゃにされてしまう。原発事故を経験した福島が、まだ復興の途上にあるように。
同じ間違いを犯し続けてはいけない。
トンネル工事の影響で、生活を滅茶苦茶にされる人を、絶対に出してはいけないのだ。
◆調布市の道路陥没事故のニュースURL(一部)
(NHK) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201019/k10012670031000.html
(東京新聞) https://www.tokyo-np.co.jp/article/62725
(テレ朝ニュース) https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000195934.html
(2020年10月20日一部改訂)