◆平成の米騒動
今年の梅雨は、長引いた。夏になったと思ったら、1週間もしないうちに、暦の上での秋になった。それだけに、多くの被害を産み、被災地を苦しめた。
一方、別の心配もあった。このブログで言及した「8・6水害(鹿児島水害)」のあった1993年は、梅雨明け自体がなかった。8月に入ってもずっとぐずぐずした天気が続き、真夏日がほとんどなく、秋になってしまった。だから、米が極度の不作に陥り、買い占めがおこった。平成の米騒動だ。政府が、海外からのコメ緊急輸入を実施するほどだった。
我が家もなかなかお米が手に入らなくなり、父の職場で兼業農家をしている方から、古米でよければと時折お米を譲ってもらって、なんとかしのいだのを覚えている。
コロナが襲ってくる中で、米まで不作になったら、93年とは比較にならないくらい大変な事態に陥るのではないか、とヒヤヒヤしていたので、梅雨が何とか明けたのは本当によかった。
でも、長雨後に続いた猛暑のために不作となった野菜が、かなり値上がりしてしまった。
◆コロナのうえに蝗害が!
今年は、天候不順以外にも、心配の種となるニュースがあった。蝗害(こうがい)である。
アフリカ東部で発生したサバクトビバッタが大量発生し、とにかく各地の食物を食い尽くしながら東へ東へとどんどん移動していき、アフガニスタンまで到達したというのだからビックリする。
ちなみに、サバクトビバッタ、たんに大量発生したわけではなくて、何年かおきに、遠くまで飛べる変態の大量発生が起こり、蝗害につながるらしい。
それはともかく、蝗害のせいで、穀物の価格が上がり、飢饉に苦しむ国がたくさんでるのではないかと心配される。いまでは、穀物も先物取引というかたちで投機の対象となっているから、価格が急上昇するかもしれない。しかも、コロナがおさまらないと、食糧のやり取りも平時のようにうまくできず、危機的状況に陥っている地域への支援が遅れてしまうかもしれない。
こうしたリスクが、いま、世界的にくすぶり続けている。
◆食料の自給率をあげるべき理由
そうだとすると、世界的に天候不順のいま、必要なのは、食料自給率をあげるための諸方策ではないだろうか。
日本は、経済力があるから、食料価格が多少高騰したとしても、2008年に起こった世界同時食糧危機のときのように、食料の輸入はできるだろう。しかし、食料価格が高騰すればするほど、食料にありつけなくなる人たちが世界にはたくさんいる。そういう人たちに、不作のとき、少しでも食料がいきわたるようにするには、私たち日本人が、自分たちで食べる分の食料を、できるだけ自給しておく必要がある、と思うのだ。
世界的に、天候不順による凶作、蝗害による凶作がどうしようもないほど深刻になって、どこの国も穀物を輸出する余力がない、という事態に陥ったら、いくら経済力があったとしても、どこも日本に食料を輸出してくれないかもしれない。飢饉が日本でも現実のものとなる日が来るかもしれない。
そういう事態を避けるために、日本へ輸出する穀物栽培用の農地を、ODA(政府開発援助)で海外にどんどん作ってきたのだけれど、そうすればするほど、今度は海外の人たちが自分たちの農地を失うことになる。モザンビークで行われている「プロサバンナ計画」のように(※)。
そのように、海外の人たちが食料にありつけない状況に私たちが加担してしまう状況のままでいいとは思えない。世界的にどうしようもなくなったら、自分たちが餓死しかねない自給率のままでいいとも思えない。やっぱり、自給率を少しでもあげていかないといけない。
【注】
(※)プロサバンナ計画は、いろんな問題点が指摘されています。以下に挙げた記事以外にも、Youtubeでは、現地の方の声が聞けますし、さまざまな講演会の様子も見られます。ぜひ、検索してみてください。
・「JICAプロジェクト「プロサバンナ」は誰のための開発? モザンビークの農民を支援するNGO職員へのビザ発給拒否続く」https://www.ganas.or.jp/20171205prosavana/
・舩田クラーセンさやかさんのブログ「Lifestyle&平和&アフリカ&教育&Others」 https://afriqclass.exblog.jp/i38/