◆久々の70人台?
今朝の『グッドモーニング』(テレビ朝日)によると、昨日、新型コロナウイルスへの感染があらたに判明した人の数は、東京都内で77人だった。久しぶりの70人台で、感染者数も順調に下がってきているから、早ければ4連休の直前に東京都もGo to キャンペーンの対象地域になる見込みであると解説があった。政府は、これで経済活動との両立をよりいっそう進められると思っているようだ。
でも、ちょっと待ってほしい。この数は、そんなポジティブに受け取れる数字なのだろうか?
◆感染を抑え込めている国との違い
これまで何度か指摘してきたけれど、新型コロナウイルスの感染を抑え込めている国では、無症状者も含めて徹底的に検査をし、症状がない人であっても感染が判明すれば隔離するという政策をとった。そうすれば、偽陰性の問題もあるから100%ではないけれども、市中でウイルスに感染する可能性は極限まで減らせるから、街の中で安心して買い物ができる。食事ができる。そういう環境をつくる努力を続け、人びとを安心させることで、経済との両立を図ってきた。
ひるがえって、日本はどうだっただろうか。政府がいくら検査能力を拡充すると約束しても、なかなか件数が上がってこない。保健所に電話しても門前払い、という実態がいまだ続いてすらいる。無症状だと、心当たりがあっても医療費での検査すらできない。
そうした中で、7月から第二波ともいうべき感染者数の増大があった。それでも政府の腰は重く、国民に外出自粛などをお願いするだけ。緊急事態宣言も出さない。それどころか利権が見え隠れするGo to キャンペーンを強行し、全国にウイルスを拡散させる始末・・・。
東京都医師会の尾崎治夫会長が、政府の無策にたいし、会見で怒りをにじませるほどだった(※1)。
◆市中感染が不安な状況が続くと・・・
少し前、万が一に備えて、乃木坂46のメンバー全員がPCR検査を受けたところ、佐藤楓さん、与田祐希さんが陽性だったというニュースがあった。ふたりとも感染には気を付けていたという。注意していても感染する。無症状感染者が街中を歩く現状は、政策的に許容されているのだから。ウイルスは相手を選ばないのだから。佐藤さんも与田さんも、何も悪くない。
再度、強調する。日本ではまだ、世田谷区などの先進事例を除き、感染者との濃厚接触をしていない限り、症状がなければ検査を受けられない。77人という数字は、症状がある人、濃厚接触した人の検査をした結果でてきた感染者数である。市中感染につながる無症状者をできるだけ把捉しようと努力して出てきた数字ではない。だから、感染者数が減っているとは断言できないはずなのだ。
そのような深層は、多くの人がわかっている。どこで感染してしまうか不安でたまらないから、慎重な人ほど、いつまでたっても足は外に向かない。だから、外食産業も観光業も、ずっとピンチが続いている。悪循環だ。ここまでくると、国の無策による人災のように思えてならない。
◆感染が続く場合のリスクを回避するには。
だから、経済の活性化とコロナ感染の抑制を同時に達成しようとするなら、とにかく検査数を増やし、無症状者を隔離して、安心できる街中の環境をつくっていく必要があるのだ。そうでないと、いまのように、経済が停滞したまま、いたずらに年月が過ぎていきかねない。
それだけではない。このまま感染者数が一定数いるままの状況を放置しておけば、お年寄りを中心として亡くなる方がたくさん出てきてしまう。みんなの免疫力が落ちる冬を迎えたら、第三波だってくるかもしれない。なかなか感染を断ち切れないでいれば、ウイルスの変異だって起こるかもしれない。ウイルスが変異すれば、いまは比較的新型コロナに強いといわれる若者だって、こどもだって、健康でいられるかどうかわからない。そして、日本で変異が起こったら、世界に顔向けもできない。
それだけいろんなリスクがあるってことを、政府もメディアも理解できているのだろうか?
【注】
(※1)きんやささきさん「東京都医師会長が怒りの会見「国の無策で感染拡大、今すぐ国会招集を 感染抑える最後のチャンス」だ!」https://note.com/sasaootako57/n/nd349f195a838