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ものぐさ講師の徒然日記

窓際大学教員が、日々の暮らしで感じたことを、徒然なるままに綴っています(日・木曜日に更新)

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【学生の眼3】学生のみる科学的に捉えるということ

Posted on 2022年1月30日2022年2月2日 by monogusalecturer2021

~~~~~

 まえにも書きましたが、私が担当している教養科目「哲学」では、最初の柱として「科学的に見るとはどういうことか」というテーマで5回の講義を実施しています。農学・工学という理系の分野で将来活躍されるみなさんに、科学的にみるとはどういうことなのか、根本的に解決できていない視点も含めて、自分なりの見解をもって社会に出てほしい、という願いからです。

 毎回、テーマについてひと通り説明し終えたあと、なかなか解決策を見出すのが難しい難題について考えてもらっています。

 Aさんは、科学的に何らかの事象を捉えるとは一体どういうことか、という難題に、ご自身の見解から答えてくださいました。

 新型コロナウイルスがパンデミックを起こしてから2年余。さまざまな情報が飛び交うなかで、科学的な姿勢を貫くのは大変難しいことです。そうした状況のなかで、Aさんのレポートは、科学的に見るとはどういうことなのか考えるうえで、たいへん参考になる考え方だと思い、紹介させて頂くことにしました。

 みなさま、ぜひご覧ください。

※ご本人から許可を頂いて掲載しております。Aさんにおかれましては、掲載すべき時期が半年ほど遅れてしまいましたこと、ここに深くお詫び申し上げます。

~~~~~

〇タイトル「科学的に事象を捉えるには」

Aさん

 感情や印象に左右されることなく科学的, または論理的に事象を正確な形で捉えるには、常に絶えず移り変わっていく情報をアップデートしていく事, 具体的な数値を読む為にグラフと読むことが重要なのではないかと私は思う。なぜこのように考えたのかというと、テレビ番組やニュース, YouTube 上にあげられている動画などで私たちが目にする情報には製作者がレビュー数を増やす為に, 私たちの恐怖心を煽る編集が施されているケースが多いので間違った情報に踊らされてしまうからだ。このような事実から私はニュースを見る際には次の点を意識している。


① 「悪い状態」と「改善している」という状態は両立する
② ゆっくりとした進歩や, 良い出来事はニュースになりにくい
③ 悪いニュースが増えても, 悪い出来事が増えたとは限らない


 順番に説明していきたいと思う。例えば国連のデータによると未だに世界の 9 %ほど存在するが、1 日 2 ドル以下しか自由に使うことができない人の割合は過去 20 年で 20 %以上減っている。この事はあまりニュースなどで見かけないので知っている人は少ないと思うし、実際に私も国連のデータを見るまでは知らなかった. そのような極度の貧困状態にある人が 9 %ほど存在するという点でまだまだ悪い状態であるかもしれないが、凄まじい勢いで改善している。これが①を意識するようになったきっかけである。


 次にこれもまた国連がインターネット上にアップロードしている資料で知ったのだが、世界中の平均寿命はゆっくりと改善していき, 今ではなんと 70 歳程度である. しかし, 世界中の 1 歳児の中で何らかの病気に対する予防接種を受けたことがある子供の割合が 80%になったことなどが要因で、平均寿命がこんなに改善したという良い出来事も全くと言っていいほどメディアは取り上げていない. このような事実を知った時に②を意識するようになった。


 勿論このようなことをあまり言うべきではないと分かっているが、ウイグル問題や香港に関する問題, ウクライナ紛争、エチオピア虐殺など世界中に存在している様々な問題は今まではそれぞれ中国, ロシアやヨーロッパ、エチオピアがその地域の通信手段やネット環境の破壊や監視をすることで外に漏れることはあまりなかった。しかし、ドローンでの撮影などによりこれらの悪いことが世界中に漏れることが増えてきた。私たちはこれらの悪いニュースを知ることにより悪いニュースが増えたと考えがちだが、このような悪い出来事は、ルワンダ虐殺やアボリジニ虐殺、ボスニアヘルツェゴビナ内戦など挙げたらキリがないが人類史では常に発生しており、世界が悪くなったというより監視の目がより届くようになったからであろう。このことから③について考えるようになった。


 結論としては、「著名人やメディア, 企業が世界には貧しい人が沢山いると言っているので, なんとなく世界の状態は常に悪化しており極度の貧困状態にある人の数が増えているように感じる。」といったアバウトな考えを捨て、感情や思い込みを入れることなく信用のできる機関が公表しているデータや数値を集め、バブルチャートやグラフを作るなどした後にきちんと熟考することによって初めて科学的に物事が捉えると言えるのではないかと私は思った。


 またこれはレポートの本題とは離れてしまうが、授業でも取り扱った環境問題の解決方法への取り組み方についても考えていきたいと思う。授業内で取り扱ったような水俣病を始めとする一昔前に問題となっていた環境問題は、直ちに人間を始めたとした生物に影響が強く出るという特徴があった。しかし、それゆえに早期に発見され対策が施されることによって汚染範囲がそれほど広くないという特徴があった。一方で現在の地球上で問題とされている環境問題としては、マイクロプラスチックや地球温暖化、ゴミ問題などが存在する。これらは人間を始めたとした生物に直ちに影響が出ることがないが、少しずつ地球全体に着実に影響が出ていると言われている。そこで, こうした問題をこれから解決していく為にはバックミンスター・フラーが提唱した宇宙船地球号の考え方が大事なのではないかと思う。具体的にどういうことかというと、二酸化炭素や有害物質を排出する際やゴミを投棄する際に直ちに影響が出ないし「多少なら放棄や流出しても大丈夫でしょ」という考え方をするのではなく、人類全体が小さな宇宙船の中で生活しているという考え方を持って地球上の全ての物を大切にしていくのが大事だと思った。


参考文献

  1. the United Nations – (https://www.un.org/en/) 2021 年 6 月 4 日
  2. FACT FULNESS – 2020 年 6 月 25 日発行- ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、
    アンナ・ロスリング・ロンランド著
  3. 駐英中国大使、BBC 番組でウイグル人の強制収容否定 ビデオを見せられ – BBC ニュ
    ース – (https://www.bbc.com/japanese/video-53465253) 2021 年 6 月 5

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