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1,医療崩壊
昨日の『羽鳥慎一のモーニングショー』をみていて〈ついにこのときが来てしまったか〉と、率直に思った。
大谷クリニックの大谷医師は、発熱外来に来た患者さんでコロナ中等症が発覚し、入院の要請をした10名のうち、5名しか入院できなかったと残念そうに報告された。救急隊が病院まで来ても「受け入れ先がないから」と帰ってしまったというのである。
そのうえで、もう医療崩壊は起こっていると強調された。
弊ブログでも、医療崩壊が起きないために考えられる対策を、いろいろ考えてきた。
ところが政府はいまごろ、病床確保のために法整備しないといけない、と言い出す始末。
しかも、驚いたことに、『田中龍作ジャーナル』の報道によれば、厚労省は、この時期に、発熱外来の点数加算をなくしたというのである。そのため、発熱外来を取りやめるクリニックが続出しているという。
この1年半、政府はいったい何をしていたのか?
事ここに至ってもなぜ、最悪の事態を想定した対応ができていないのか?
いま起こっている医療崩壊は、政府の無策により気たるべくして到来したような気がしてならない。
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2,オリンピック
最悪の事態よりも利益を優先した最たるものが、オリンピックの開催だった。
デルタ株が出てきた段階で、夏ごろに感染のピークを迎えるだろうと指摘されていたにもかかわらず、国も東京都も、最悪の事態を想定するどころか、利権や政局への好影響を優先した。
ところが、案の定、杜撰な対応だったためにバブル方式は機能しなかった。最初のうちは、陽性の海外選手が合宿先まで他の選手や関係者とふつうに移動するという有様だった。成田空港、羽田空港では一般客と海外選手との隔離が徹底されず、感染を拡大させた可能性がある。
オリンピックが始まったら、応援に駆け付けた人が参道にあふれもした。これも感染の拡大につながった可能性がある。
「オリンピックやっているんだから、非常事態宣言になんか従わなくていいんじゃない?」という気持ちを、国民のなかに醸成もしてしまった。
オリンピックをやるなら、感染拡大への対応も併せてやっておくべきだった。
ところが、ワクチン万能論に固執し、首相が約束した3月までのPCR検査体制の充実も反故にしたままだ。そして、コロナ対応は、医療関係者や自治体に対応が丸投げされてきた。
しかも、国も都も、今回の感染爆発にオリンピックの影響はないと、なんらエビデンスのない言葉を繰り返している。
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3,野戦病院
こうした混乱の結果が今回の医療崩壊だとしたら、もう人災ではないのか?
なのに首相は、昨日の会見で、対処療法でしかない酸素ステーションをさも最善の解決策かのように自慢した。
いやいや、いまもっとも必要なのは、野戦病院ではないのか?
ところが、昨日の政府の会議でも野戦病院の話は出ず、都の責任者もいまのところ設営の予定はないと言っているらしい。
この段階で何を考えているのだと、暗澹たる気持ちになる。
掛け声だけで実態を観ず、最悪の状況に陥っていった戦前の行政と酷似していると弊ブログで分析してきたけれども、残念なことに、予想していた最悪のシナリオが進みつつある。
悪夢が現実となってしまった。
でも、これ以上、医療にかかれずに亡くなる市民を出してはいけない。家族や大切な人たちを、人災で失いたくない。
だから、何度でもいう。できることを今すぐやるべきだ。いま最優先すべきは、中等症以上の患者さんたちを受け入れる野戦病院の設営だ。抗体カクテル療法ができれば、多くのいのちが助かる。重症化する患者が減り、医療現場への負担も軽減できる。
病床確保は都道府県の責任、財源不足のところにお金を出すのは政府の責任である。
経済への影響から全国一斉の緊急事態宣言ができないというのもおかしい。事業が行き詰っている事業者への補償、個別補償を宣言とあわせて行えばよいだけなのだから。
政府の部会が災害級の事態だと言っているときに、政府は、プライマリーバランスなどと言って、市民のいのちを守るための財政措置を渋っている場合ではない。